前々回に、嚥下(飲み込み)の仕組みについてお話しました。
食べにくい原因として、主に
・噛みにくい
・飲み込みにくい
が挙げられると思います。
噛みにくい場合、前回の摂食嚥下の5段階の②準備期に問題があると考えられます。
今回は、噛みにくい場合に噛みやすくする工夫について、お話したいと思います。
やわらかい食材を選ぶ
・肉類
肉は適度に脂身のある部位を選びましょう。
加熱してもかたくなりにくく、噛み切りやすいです。
【食べやすい肉類】
牛サーロイン、牛ヒレ肉、豚ロース肉、豚もも肉、鶏むね肉、鶏ささ身、
これらの部位を二度びきしたひき肉
・魚介類
魚は加熱しても身のしまらない種類を選ぶとやわらかいです。
【食べやすい魚介類】
ウナギ(皮を除く)、イワシ、アナゴ、サンマ、カレイ、タイ、タラ、カニ、タチウオ、
カキ(ひだと貝柱を除く)、アユ、キス、キンメダイ、サヨリ、シタビラメ、スズキ、
ニジマス、イワナ、ハマチ、ブリ、ムツ、メカジキ、メバル など
【生でもやわらかく、刺身で食べやすいもの】
マグロ、カツオ(筋のないもの)、ハマチ、ブリ、ホタテ貝柱、ウニ、イクラ、甘エビ
【食べにくい魚介類】
エビ、イカ、タコ、カジキ、アジ、サバ、サザエ、ハマグリ、アサリ、カマス、サワラ、カツオ
【生では噛み切りにくく、刺身で食べにくいもの】
イカ、タコ、タイ、サーモン、カレイ、ヒラメ、フグ、生貝類、白身魚
・きのこ類
きのこ類で比較的食べやすいのは、まいたけ、マッシュルーム、しめじ(食べにくい場合は笠の部分のみ)です。
まつたけやしいたけ、エリンギなどが食べにくい場合は、みじん切りにすると食べやすいです。
・海藻類
海藻類は、ひじきは長ひじきより芽ひじきが食べやすいです。しかし、長ひじきも刻むと食べやすくなります。
わかめは十分に水でもどしてやわらかくすれば食べやすくなります。
やわらかくなるまで加熱する
肉、野菜、芋、ごはん、麺などは、口蓋(上あご)と舌で押しつぶせるくらいやわらかく煮ると、食べやすくなります。
切り目を入れたり、食べやすく切ったりする
肉は調理をする前に筋を切っておきましょう。
トンカツをする時には、厚い肉を使うのではなく、薄切り肉を重ねて一枚肉のように整形すると食べやすいです。
また、すき焼きなどペラッとした薄切りの肉は噛み切りにくい時があります。
その場合は、肉をくるくる丸めるか、ひだを寄せて厚みを作ると食べやすくなります。
イカやタコを食べる場合は、繊維と直角に隠し包丁(切り目)を入れます。
野菜などは繊維を断ち切るようにきったり、切り目を入れたり、噛み切りにくい部分(皮など)を取り除いたりします。
ごぼうは叩いて繊維を壊します。
アスパラガスは穂先だけを使います。
トマトは湯むきして皮をむきます。
豆類は薄皮をむくと食べやすくなります。
こんにゃくやたくあんなどの漬物のように噛みだしにくい食材は、噛みだすきっかけが取れるように隠し包丁(細かく切り目)を入れると良いでしょう。
食べものの噛みやすい厚さは5~8mm程度です。
野菜などは、この厚さを目安に切ると食べやすいです。
キャベツや野沢菜漬けのような薄っぺらい葉物は噛み切りにくいので、端から巻いて厚みを持たせます。
やわらかくゆでた麺は、3~5cmの長さに切っておくとさらに食べやすくなります。
パサパサするものはしっとりさせる
パンやクッキーなどパサパサしてだ液を吸い取られるものは、噛んで飲み込むのに苦労します。
牛乳や飲み物に浸してしっとりさせて食べると食べやすいです。
義歯の調整や食べる姿勢も大事
義歯をつけている方は、定期的に歯科で検診を受けて義歯の調整をしてくださいね。
自分の口によく合った義歯で、少し噛みごたえのある料理を楽しんで食べるようにしてくださいね。
また、背筋を伸ばした姿勢で食べると、機能的に食べやすくなる時もあります。
噛みにくいものでも好物の料理であれば噛めることが多いので、
食べる方の好みを聞いたり、食べる様子を見たりしながら、料理のかたさや食べやすい工夫をしてくださいね。









