当院では糖尿病合併症が発症する前の状態から、
個人栄養指導を含めた食事指導、運動についてのアドバイスも行っています。
当院では、10分程度でHbA1cおよび血糖値の測定が可能です。
②インスリン注射治療を行っていなくても、一定の条件下で家庭での自己血糖測定が保険適応となります。自己血糖測定を希望の方はご相談下さい。
*「Free StyleリブレPro」の特徴
・手指の穿刺が不要
(毎回手指を穿刺器具で穿刺して、微量採血を行う必要がありません。)
・低血糖を把握
(24時間持続して血糖値を測定できるため、夜間や仕事中の低血糖を把握できます。)
・現在や過去の血糖値を確認
(センサーに測定器をかざすと、現在や過去の血糖値が表示されます)
高血糖になると活性酸素が発生し、酸化ストレスによる血管内皮の損傷が起こります。心臓や脳などの太い動脈では、損傷部位から血管壁内に脂質系タンパク質が入り込み、血管内にいるマクロファージ(白血球の一種)に貪食されます。その死骸が積もると粥腫といわれる動脈硬化が進行し、血管壁が分厚くなり、血管内腔が狭窄します。この結果、心血管障害(死因の1位)や脳血管障害(死因の2位)を発症します。また、血管壁の一部が分厚くなり山のように盛り上がると、血流が乱れて血栓が作られやすくなり、脳血管障害に至ります。
酸化ストレスにより眼や腎臓の細い血管も障害されます。
腎臓は血液をろ過して不要なものを尿中へ排泄する、非常に血管の豊富な臓器です。糖尿病では酸化ストレス産生に加え、コラーゲン代謝異常、ソルビトール蓄積により腎臓の血管が障害され、ろ過能力が低下します。不純物が蓄積すると強い掻痒や倦怠感が自覚されます。
ろ過膜の損傷により、分子量が大きく通常は漏れ出ないはずの蛋白が、血液から尿中へ排泄されてしまいます。血液中の蛋白質濃度が下がると、血管内に血液を保つことが出来なくなり、脂肪など間質組織へ移動し、むくみとして自覚されます。
腎臓は赤血球を産生するエリスロポイエチンやカルシウムの吸収をよくするビタミンDの活性化を行っています。腎臓が障害されると、貧血や骨粗鬆症となります。また、カリウム排泄障害による不整脈やリンの蓄積による動脈硬化進行が起こります。
透析導入の原因の1位が糖尿病(43%)です。
糖尿病では酸化ストレス物質の蓄積により手や足先の抹消神経が障害されます。足裏が異常に熱く感じる、紙で触られているように感じるなどの自覚が出ます。神経は傷を感知し、治すための免疫細胞を血管などを通じて傷口へ運ぶ役割をしています。糖尿病で神経や血管が障害されると、傷口で感染が広がり、足の切断に至ることがあります。
眼は意外かもしれませんが、眼底検査が行われるように、唯一体の外から血管を直接見ることができる場所が眼です。光を感知する網膜の血管が傷ついてしまうと失明に至ります。失明の原因は、緑内障(21%)に続き、糖尿病(15%)が2位となっています。
糖尿病ガイドラインでは、自覚症状がなくても年1回の網膜症検査が、推奨されています。
・睡眠の時間や質は、メラトニン・成長ホルモン・コルチゾールといっ た、概日リズムを有する内分泌ホルモンにより調整されています。
・生活習慣の乱れ(ストレス・喫煙・飲酒)や糖尿病(血糖コントロール悪化・内臓脂肪によるインスリン抵抗性の上昇)は、内分泌ホルモンの分泌異常を来し、睡眠障害の原因となります。
・睡眠障害に伴う交感神経の活性は、夜間・早朝高血圧を伴い、動脈硬化を促進し、脳梗塞・心筋梗塞発症を増加させます。
・当院では、これら最新の知見に基づき、生活習慣の改善、睡眠薬の選択を行っています。
不眠症や日中倦怠感でお困りの方は、ぜひ一度ご来院下さい。
糖尿病患者さんの血糖値は下記4領域を行き来します。
①正常領域⇔②境界領域⇔③糖尿病領域⇔④インスリン治療必須領域
正常領域を目指して、食事療法、運動療法、薬物治療を行います。
具体的には・・・
☆日々の食事内容を記録して頂き、一緒に相談しながら改善を図ります。
☆診察毎に、INBODY(体重、体脂肪量と筋肉量の測定)検査を行い(無料)、必要な摂取カロリーの減量や運動量の増加を相談します。
☆インスリン抵抗性の上昇(膵臓からインスリンは出ているが、血管内から筋肉や肝臓への糖の移行が障害されている)や膵臓からのインスリン分泌能低下など、高血糖を来している原因を把握して、薬物治療の内容を変更します。
☆自身の膵臓からのインスリン分泌能に応じて、インスリン投与量の減量やインスリン離脱を目指します。
☆自己血糖測定により血糖値の推移を把握して、インスリンの種類や投与量をオーダーメイドで変更してゆきます。
☆低血糖は、時には高血糖にもまして、心血管系に負担がかかり、長期的に脳心血管障害や死亡率を高めます。低血糖が起こりやすい時間帯や、食事の時間や内容を把握して、治療を行います。
GLP-1/GIP促進薬は糖尿病、過食、肥満を改善する薬です。
食事をすると、糖を下げるインスリンの分泌を促すホルモンが、消化管から分泌されます。その総称をインクレチンと呼びます。GLP-1やGIPはインクレチンの一種です。
GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)は下部小腸や上
部大腸に存在する L 細胞、GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)は十二指腸や
上部小腸に存在する K 細胞から分泌されます。
分泌されたGLP-1やGIPは血液中を流れ膵臓のβ細胞表面にある受容体を刺激し、β細胞内からインスリンを分泌させます。
胃腸の蠕動運動を抑制し、満腹感を感じやすくさせ、肥満を改善する作用もあります。
GIPは脂肪細胞に作用して、食欲を抑えるホルモンであるレプチンの分泌を促進します。
中枢神経系でGIP受容体およびGLP-1受容体に作用することにより食欲を調節します。
GLP-1は脂肪細胞での脂肪分解を促進し、褐色脂肪細胞では脂肪燃焼も促します。
GLP-1/GIP促進薬であるマンジャロは、例えば5mg/週の用量では平均の体重78.3kg, HbA1c 8.1%の群において、1年後に平均の体重を5.8kg, HbA1cを2.4%下げると報告されています。