病気について知ろう

2023年4月30日|カテゴリー「病気について知ろう

コレステロールってなあに

コレステロールは脂質のなかの一つで、体のさまざまな場所に分布されています。

一番多く分布しているのは脳・神経系で、脳では神経伝達や記憶など重要な役割を担っています。
また、コレステロールは細胞膜、ホルモンや胆汁酸の材料になります。

コレステロールは肝臓で作られますが脂質の仲間で水に溶けにくいので、
アポたんぱくとくっついてリポたんぱく質となり、
体のすみずみ(末梢)まで運ばれます。

コレステロールには、
・「悪玉」とよばれるLDLコレステロール
・「善玉」とよばれるHDLコレステロール
があります。

LDLコレステロールは肝臓から抹消の血管まで運ぶ役割をしており、
HDLコレステロールは末梢から肝臓までの運搬を担っています。
LDLコレステロールは「悪玉」とよばれますが、本来、身体に必要なものです。

LDLコレステロールが高いとどうなるの?

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血液中のコレステロールやトリグリセライド(中性脂肪)が異常値を示した状態を「脂質異常症」といいます。
コレステロールやトリグリセライドは人間にとってなくてはならないものですが、
異常値になると身体にさまざまな影響を及ぼすため、生活習慣病のひとつとされています。

「脂質異常症」は、かつて「高脂血症」とよばれていました。
しかし、LDLコレステロール値やトリグリセライド値が高いだけでなく、
HDLコレステロール値が低いことなども含めるために、
それらの状態を総合して「脂質異常症」とよばれるようになりました。
しかし、血液中のコレステロールを運搬するLDLが増えると、血管の内側が傷つけられます。
すると、LDLは血管の中を入り込み、酸化LDLとなります。
動脈硬化の元凶はこの酸化LDLです。

酸化LDLが血管の壁に入り込むと、白血球のマクロファージが集まり、
異物とみなした酸化LDLを次々に食べていき、泡沫細胞となります。
この泡沫細胞がプラークで、次第にプラークが厚くなることで働きが悪くなります。
さらにプラークが破れると、そこに血小板が集まって血栓となり、
心臓や脳の血管を詰まらせてしまうこともあります。
これが、心筋梗塞脳梗塞です。
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LDLコレステロールが高くなる原因と対策は?

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・食べ過ぎ

エネルギーの過剰摂取によって体重増加や肥満が進行すると、
脂質異常症のリスクが上がります。
肥満の場合は、肥満を解消することでコレステロール値が改善する場合があります。


脂質のとり過ぎは、エネルギー過多につながり、肥満を引き起こします。
総摂取エネルギーのうち脂肪エネルギー比率が30%を超える食習慣では、
飽和脂肪酸をとり過ぎる心配があり、脂質異常症などの生活習慣病を招きやすくなるといわれています。

日本人の食事摂取基準では、
総エネルギーに占める脂質エネルギー比は20~30%です。
脂質のなかでも、脂質異常症に悪い影響を与えやすいのが飽和脂肪酸です。

・牛や豚などの肉類、乳・乳製品

に多く含まれます。
飽和脂肪酸を多く含む脂肪は融点が高く、常温でも固体であることが多いのが特徴です。

乳・乳製品はカルシウムが豊富なので身体によい、と大量に摂取して
LDLコレステロールが高くなってしまう患者さんも時折おられます。
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また、LDLコレステロールに影響するものとしては

・コレステロールを多く含む食品

が挙げられます。
レバーやあんこうの肝など肉や魚の内臓、卵(卵黄)、イクラなど魚卵、ウナギ、イカなどに多く含まれます。

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逆に、

・緑黄色野菜を含めた野菜および大豆・大豆製品の摂取を増やす

ことは、LDLコレステロールを低下させるのに役立ちます。

また、女性は、閉経前は女性ホルモンのエストロゲンの働きにより動脈硬化が進行しにくいのですが、
更年期になるとエストロゲンが減少し、LDLコレステロール値が上昇しやすくなります。
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食事からのコレステロールは制限したほうが良いの?

コレステロールのお話をすると、コレステロールを多く含む卵は食べ過ぎても大丈夫?と
聞かれることがあります。

これまでの研究により、
・コレステロール200mg/日未満 と
・飽和脂肪酸7%エネルギー比率未満
の食事では、LDLコレステロール低下効果が確認されています。

そのため、日本人の食事摂取基準(2020年版)においても、
脂質異常症の重症化予防を目的に、
コレステロールを200mg/日未満に留めることが望ましいと記載されています。

ただし、食品からのコレステロール摂取量が血液検査の値に影響する方と影響しない方が
います。

血清脂質には、食品中の飽和脂肪酸、食品中コレステロールの吸収率、肝臓でのコレステロール合成量の個人差が影響します。

したがって、コレステロール摂取量を減らすことで、LDLコレステロール値が改善する場合と改善しない場合があるということですね。

個人差が大きいので、ぜひ主治医や管理栄養士にご相談くださいね。