どうして健診でおへそ周りを計るの?

2022年07月19日 |カテゴリー「生活習慣

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健診でおへそ周りを計測したことはありますか?

2008年4月から「特定健診・特定保健指導」の制度が実施され、
40歳から74歳までの男女を対象に
内臓脂肪型肥満に焦点をあてた検診が行われています。

おへそ周りの計測で何がわかるの?

なかでも内臓脂肪の蓄積の目安となるのがウェスト周囲径です。
おへその高さで水平に計測します。
男性の場合腹囲が85cm以上、女性の場合は90cm以上としています。
この数値は、腹部CTによる内臓脂肪の断面積が100cm2に相当します。

なぜ女性のほうが基準値が大きいかというと、女性のほうが皮下脂肪が多くついていることが多いからです。

実際に計測してみると、自分が思っているウエストサイズよりも大きくて、ショックを受ける方もおられるかもしれません。
しかし、いわゆるウエストサイズは胴回りの一番細い部分を測定すると思いますが、
健診ではへその高さで計る腰回りの大きさになるため、サイズは異なってきます。

おへそ周りはメタボリックシンドローム診断の指標

先にお伝えしたように、腹囲は内臓脂肪の蓄積の目安とされ、メタボリックシンドロームを診断する指標のひとつとなります。

内臓脂肪の蓄積のほか、高脂血症・高血圧・高血糖の3つの項目のうち2つ以上満たしていると、

心臓病や脳卒中などになりやすい状態である

タボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)と診断されます。

そもそも内臓脂肪ってなあに?

私たちが余分に栄養をとった時、余ったエネルギーは脂肪に作り替えられます。

脂肪はまず、肝臓や腸間膜に蓄えられ、次に皮下脂肪に蓄えられます。
腸間膜というのは小腸や大腸を支えている膜で、ここにたまる脂肪を内臓脂肪といいます。

内臓脂肪が多いとどうなるの?

皮下脂肪は、過剰エネルギーをゆっくりと脂肪として蓄積していきますが、

内臓脂肪は皮下脂肪に比べると合成と分解が盛んです。

栄養の余分があれば速やかに脂肪を合成してここに蓄えます。
逆に空腹時や運動に対してもゆっくりエネルギーを出す皮下脂肪に対して、
内臓脂肪はすぐ燃えます。
皮下脂肪は定期貯金とするならば、内臓脂肪は出し入れ簡単な財布がわりの普通貯金に例えられます。

このように内奥脂肪は出し入れが盛んなので、増えるとすぐに血液中に放出され、
血液中の脂質が増えます。
その結果として中性脂肪が増え、逆に善玉コレステロール(HDLコレステロール)が
減ってしまいます。
この状態が脂質異常症(高脂血症)で、動脈硬化を進める重要な原因となってしまいます。
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内臓脂肪が増えると、アディポサイトカインという脂肪代謝や糖代謝を円滑にする物質の分泌異常を引き起こします。

アディポサイトカインには、レプチン、アディポネクチン、TNFα(ティエネエフアルファ)、PAI-1(パイワン)、アンジオテンシノーゲンなどがあります。
内臓脂肪が増えると、不都合な生理活性物質の分泌を増加させ、
良い生理活性物質の分泌を減少させてしまいます。

具体的には、
・レプチン分泌過剰⇒ 満腹中枢が適切に反応せず、さらに食べ過ぎ、太りすぎにつながる
・アディポネクチン分泌減少⇒ 動脈硬化を防ぐ働きが下がり、インスリンの効きが悪くなり血糖を上げる
・TNFα分泌過剰⇒ インスリンの効きが悪くなり、糖尿病を引き起こしたり悪化させたりする
・PAI-1分泌過剰⇒ 血栓をつくりやすくして動脈硬化を進める
・アンジオテンシノーゲンの分泌過剰⇒ 血管を収縮させて血圧を上げる
などが挙げられます。

内臓脂肪が増えると、悪い作用がたくさん働いてしまいますね。

内臓脂肪は生活習慣で減らしやすい!

さまざまな悪い病態を引き起こす内臓脂肪ですが、
最初のほうでお伝えしたとおり、内臓脂肪は皮下脂肪に比べると合成と分解が盛んです。
つまり、食べ過ぎと運動不足を解消することによって改善されやすいのです。

3~5%の体重減で脂質代謝や糖代謝、血圧、尿酸値が改善されていることが報告されています。
生活習慣を見直し、3~6か月かけて3%以上減を図ることが勧められます。

特定保健指導利用券を活用しましょう

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内臓脂肪は生活習慣で減らしやすいとはいえ、
1人で減量を頑張るのは大変なことです。

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