カロテンとビタミンA

2022年05月01日 |カテゴリー「生活習慣

前回、緑黄色野菜と淡色野菜についてお話しました。
その中で、カロテンなど栄養素をもっと詳しく知りたいとの声がありましたので、今回からそれらについて一つずつ詳しく解説していきたいと思います。

今回は、カロテンとビタミンAについてです。

カロテンはそのままでもはたらき、ビタミンAに変身してもはたらく

前回の緑黄色野菜と淡色野菜の話の時にもお話しましたが、

カロテンには体内の活性酸素を減らす抗酸化作用があります。
また、

しかし、カロテンはそれだけでなく、
体内で必要な分だけビタミンAに変換され、
「ビタミンA」としてはたらきます。

そのためカロテンは「プロビタミンA」ともよばれています。
プロは pro=前 を意味する英語の接頭語です。
プロビタミンAは「ビタミンA前駆体」と呼ばれることもあります。

ビタミンAはカロテンとレチノールからなる

先ほどカロテンがビタミンAとなり働くことをお話してきましたが、

実はビタミンAは2つの成分からなっています。
1つはカロテン、もう1つはレチノールです。

カロテンは緑黄色野菜に豊富に含まれていますが、
レチノールは豚や鶏のレバー、うなぎ、バターやチーズ等の乳製品、卵黄など動物性の食品に多く含まれています。

ビタミンAのはたらき

ビタミンAは、皮膚やのど、鼻、肺、消化菅などの粘膜を正常に保つ働きをするため、
感染症を予防し、免疫力を高めることにも役立っています。
成長、生殖作用にも関わっています。

ビタミンAは、目が光を感じるのに必要な網膜の色素ロドプシンの主成分で、
視覚機能に必須の栄養素です。
ロドプシンは、暗いところでもわずかな光に反応し、薄暗い場所でも見えるように働いています。

レチノールはとり過ぎに注意

ビタミンAは油に溶けやすい脂溶性ビタミンです。
そのため、摂り過ぎると体内に蓄積し、頭痛や嘔吐などの症状が出る脳圧亢進症や脱毛、筋肉痛など過剰症が起こることがあります。
妊娠初期に摂りすぎるのも良くないといわれています。

ただし、過剰が起こるのはレバーなど動物性食品由来のレチノールで、
緑黄色野菜など植物性食品由来のカロテンは、身体の必要に応じてビタミンAに変わるので、過剰の心配はありません。


日本人の食事摂取基準(2020年版)で示されている推奨量は、
成人男性で 850~900μgRAE(レチノール活性当量)/日
成人女性で 650~700μgRAE/日
です。

ビタミンAの上限量は
2700μgRAE/日(プロビタミンAカロテノイドを含まない)です。

例えば鶏レバー1個(40g)で5600μgRAE・レチノール当量含まれます。
毎日レバーをたくさん食べたりサプリメントで大量に摂ったりすると、過剰症のリスクが上がりますので、ご注意くださいね。


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植物性食品に含まれるカロテンは脂溶性で油に溶けやすいので、炒め物など油類と一緒に摂取するほうが吸収されやすいといわれています。

一方、動物性食品に含まれるレチノールはどのような食べ方でもよく吸収されます。