ナッツの栄養と食べる時に注意すること

2021年02月22日 |カテゴリー「生活習慣

nuts_mix
時々患者さまから、「ナッツは身体に良いと聞くけどどうですか?」と質問をいただくことがあります。
確かに、最近スーパーの売り場では以前より多く売っているのをみかけますよね。

そこで、今回はナッツについてお話したいと思います。

ナッツとは

ナッツは種実類に分類されます。
果実の種子の中の胚(はい)及び仁(じん)(胚乳)が肥大して食用となったものです。
種実類は、発芽に必要な栄養素を備えているため、
炭水化物のほか、脂質、タンパク質に富み、栄養価が高いものが多いです。
ピーナッツは豆類ですが、脂質を多く含んでいるため、食品成分表では種実類に分類されています。

らっかせい、アーモンド、ごまなどは、特に脂質、タンパク質が多く含まれています。
また、カリウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅などミネラルを含みます。

ナッツの良いところ

・ナッツに含まれる油は、積極的に摂りたい油(不飽和脂肪酸)が多い

ひとくちに「あぶら」と言ってもさまざまな種類があり、それぞれ働きや効果が異なります。
日本人食事摂取基準(2020年版)では、脂質異常症の重症化予防の観点から、
飽和脂肪酸は18歳以上で1日7g以下が望ましいといわれています。
ナッツ類はの1粒の半分以上が積極的に摂りたい油(不飽和脂肪酸)でできています。


・歯ごたえがあってよく噛むことができる

よく噛むことで満腹中枢が刺激され、満腹感を得ることができます。


・糖質量が少なく、食物繊維(特に不溶性食物繊維)が豊富に含まれている

糖質量が少ないので血糖値が急上昇しにくく、また省持つ繊維が豊富に含まれていることから消化に時間がかかり、腹持ちがよいです。

糖尿病の食品交換表だと、どの仲間?

糖尿病食事療法のための食品交換表で分類すると、
ナッツ類は表5になります。
表5は脂質を多く含む食品で、
サラダ油・バターなど油脂類、ごま・ナッツなど脂質の多い種実、アボカド・生クリーム・バラ肉・ベーコンなど油の多い食品が当てはまります。
また、油を使ったドレッシングやマヨネーズも含まれます。

摂取エネルギーや栄養比率によって異なりますが、
表5は1日に1~1.5単位が目安となります。

さまざまなナッツの特徴

nuts_almond
アーモンドには、オリーブオイルに多く含まれているオレイン酸が多く含まれ、血液中のコレステロール値をコントロールするはたらきがあります。
また、体のさびつきを防ぎ、血行をよくする作用のあるビタミンEを豊富に含みます。
脂質、炭水化物の他、たんぱく質、ビタミンB1、B2、カルシウム、リンなどをバランスよく含み、食物繊維を多く含みます。

・1単位(80kcal)の目安量:15g(約10粒)
nuts_cashew
カシューナッツには、アーモンドと同じオレイン酸を含むほかに、糖質代謝に欠かせないビタミンB1も含まれます。
また、肌の新陳代謝を行い新しい細胞を作り出すミネラル亜鉛も多く含まれます。
脂質とタンパク質の他、炭水化物、リン、ビタミンB2が多いです。

・1単位(80kcal)の目安量:15g(約10粒)
nuts_pistachio
ピスタチオもオレイン酸を多く含みます。

また、代謝を助けてくれるビタミンB群を豊富に含みます。
カロtテンやカリウム、カルシウム、食物繊維も多く含みます。

・1単位(80kcal)の目安量:15g(約15粒)
sweets_kurumi
人の身体にとって欠かせないオメガ3脂肪酸(αーリノレン酸)がナッツの中で最も多く含まれています。
オメガ3脂肪酸は悪玉コレステロールと中性脂肪を下げ、脳の発達にも必要な栄養素といわれています。

クルミはn-6系脂肪酸のリノール酸も多く含みます。
脂質の他にタンパク質も多く含みます。

・1単位(80kcal)の目安量:10g(約2粒)
nuts_macadamia
マカデミアナッツは種実類の中でも脂質が特に多く、『オレイン酸』と『パルミトオレイン酸』が含まれています。
パルミトオレイン酸は、肌の乾燥予防やアンチエイジングに効果があるといわれています。

・1単位(80kcal)の目安量:10g(約4粒)

ナッツを食べる時に注意!

ナッツを1日14g食べることで、体重増加の抑制と肥満リスクの低下を期待できる研究や、
また、ナッツ類をよく食べる人では血中コレステロールが低い傾向があったと報告する研究もあります。

ただし、体重増加の抑制と肥満リスクの低下を期待できる研究では、
フライドポテト、ポテトチップス、チョコレート、精製された穀物、加工肉などをナッツに置き換えています。
普段の食事にナッツをプラスするだけで体重増加の抑制と肥満リスクが低下したわけではありません。
むしろ、普通の食事にナッツをプラスすることは、摂取カロリーの増加につながります。
いくら健康に効果があるといっても、摂りすぎは食事全体で脂質摂取量が多くなり、健康を損なうリスクがあります。
ナッツには身体によい成分が含まれていますが、食べ過ぎにはくれぐれも気を付けましょう。

脂質の1日の食事でのトータル摂取量を考え、ナッツを食べる時には他の脂質を減らすなど工夫が大切です。

食塩を加えて味つけしたもの、フライにしてるものは油の摂り過ぎになるので注意しましょう。
「素焼き・食塩無添加」のものを選びましょう。