栄養素ってなあに②(栄養素のはたらき)

2021年01月17日 |カテゴリー「生活習慣

前回の「栄養素ってなあに」では、栄養素は大まかに分けると3つの役割があるとお話しました。
どんな役割だったか覚えていますか?

栄養素は大まかに分けると、
・エネルギーのもととなる
・からだをつくるもととなる
・からだの調子をととのえる
の3つの役割がありましたね。

今回は、もう少し詳しく、
前回出てきた炭水化物、たんぱく質、脂質、無機質(ミネラル)、ビタミン、
それぞれの栄養素のはたらきについて説明していきたいと思います。

炭水化物

炭水化物の主なはたらきは、エネルギーの補給です。

炭水化物には、エネルギー源となる糖質と、
人間の消化酵素では消化できないためエネルギー源になりにくい食物繊維があります。
(これについては「糖質ってなあに【1】にも記載してあります。)

糖質は、ほとんどがブドウ糖(グルコース)に変化し、そこから体や脳のエネルギーとなったり、
脂質やアミノ酸をつくる材料となります。
また、かなりの部分のブドウ糖はグリコーゲンとなって肝臓と筋肉に蓄えられ、
必要に応じてまたブドウ糖となってエネルギーとして使われます。

糖質1g当たり約4kcalのエネルギーを生み出します。

糖質は、エネルギー源として速やかに利用できることと、
蓄えて持続的に利用できることが特徴です。

穀類やいも類などに豊富です。

たんぱく質

たんぱく質の主なはたらきは、からだづくりとエネルギーの補給です。

たんぱく質は、20種のアミノ酸がくっついたもので、
アミノ酸の数、種類、くっつく順番などによってはたらきやかたちが違います。

たんぱく質は、臓器や筋肉、髪、爪、血色素、酵素、ホルモン、免疫たんぱく質など、さまざまなからだの部分をつくり、
血圧の浸透圧の維持にも使われます。
また、からだの中で炭水化物や脂質などエネルギー源が足りなくなると、エネルギー源としても働きます。
からだづくりの全てにたんぱく質は不可欠であり、体内ではたんぱく質の合成と分解、排泄が常に行われています。

たんぱく質1g当たり約4kcalのエネルギーを生み出します。
肉、魚、卵類、豆類などに豊富です。

脂質

脂質は、高エネルギー源であり細胞膜の主要な成分となります。

人間のからだはたくさんの細胞からできています。
その細胞には、細胞膜という膜があります。
脂質は細胞膜の主な構成成分であり、ホルモンなどの材料にもなります。
脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収を助けるはたらきもあります。
また、炭水化物やたんぱく質に比べ、2倍以上のエネルギー価を持ち、エネルギー源としてもすぐれています。
質1g当たり約9kcaのエネルギーを生み出します。

摂取された脂質は十二指腸でグリセリンと脂肪酸に分解され、小腸で吸収されます。
吸収された脂質は再合成されてエネルギー源となります。
残った脂質は貯蔵脂肪となり、エネルギー摂取が不足したときに使われます。

油やバター、肉の脂身やマヨネーズなどに豊富です。

ビタミン

ビタミンは、主に生理作用の調節や、新陳代謝に使われます。
炭水化物や脂質がエネルギーになるのを助ける働きをしたり、
病気にかかりにくくしたり、傷が回復しやすくしたりします。

水に溶けやすい水溶性ビタミン(B1、B2、Cなど)と、
脂肪に溶けやすい脂溶性ビタミン(A、D、E)などがあります。


・ビタミンB1は、心臓や筋肉の機能を正常に保ちます。
・ビタミンB2は、皮膚や粘膜を健康に保つはたらきがあります。
・ビタミンCは、ストレスに対する抵抗力と免疫力を高めます。

・ビタミンAは、上皮細胞を保護、発育させて、細菌に対する抵抗力を増進します。
・ビタミンDは、血液中のカルシウムとリンのバランスを保つはたらきがあります。
・ビタミンEは、生殖機能を正常に保ちます。

野菜や果物に豊富です。

無機質(ミネラル)

無機質(ミネラル)は、からだの構成成分になり、生理作用の調節をします。

からだの構成成分としては、骨や歯などの成分(カルシウム)や、
筋肉、細胞膜、血液(カルシウム、鉄など)の成分になります。

生理作用を調節する機能としては、体液の浸透圧を正常に保つ(カリウムとナトリウム)、
筋肉のはたらきを正常に保つ(カルシウムとマグネシウム)
などのはたらきをします。

海藻、種実類、乳製品などに豊富です。

水は栄養素ではありませんが、とても重要な成分です。

成人の場合、体重の50~60%を占め、その13分の1を失うと生命が危険になります。
水は、栄養素の摂取、溶解、消化、吸収、体液の流動、代謝物の排泄、体温の調節、体細胞の維持などに使われます。

水の大部分は飲み物や食べ物により体内に摂取されます。
一部は代謝をする時に発生し、1000kcalの食物を摂取すると約100mlを酸化によって生じます。

不要となった水分は、尿や汗、糞便として体外へ排出されます。
吐く息(呼気)や体表面の蒸発としても排出されます。