運動によって血糖値が下がる仕組みには、骨格筋の細胞内にある
GLUT4(グルットフォー)
というグルコース(ブドウ糖)を体内に運ぶ働きをするたんぱく(グルコース輸送体)
が大きく関わっています。
GLUT4がはたらく時は、
①インスリンが関わることではたらく時(インスリン依存性の回路)
②インスリン関係なくはたらく時(インスリン非依存性の回路)
の2種類があります。
①GLUT4がインスリンが関わることではたらく時(インスリン依存性の回路)
食事から得られたブドウ糖が血液中に放出されて血糖が上がると、
膵臓からインスリンが分泌されます。
インスリンは、ブドウ糖を骨格筋や脂肪細胞に送り込むための仲介役として、
骨格筋や脂肪細胞の表面に行き、ノックをして細胞にブドウ糖があることを伝えます。
(このことをインスリン伝達といいます。)
骨格筋内や脂肪細胞内に潜んでいるGLUT4がインスリンのノックに応えて
ブドウ糖を細胞内に取り込むことで、血糖値が下がります。
取り込まれたブドウ糖は、骨格筋ではグリコーゲンとして貯蔵され、
脂肪組織では中性脂肪として蓄積されます。
②インスリン関係なくはたらく時(インスリン非依存性の回路)
運動で筋収縮が起こると、インスリンの刺激を受けなくてもGLUT4が活性化し、
骨格筋細胞内へのブドウ糖取り込みを促進させます。
筋肉がブドウ糖を取り込むことで血糖値を下げます。
この働きはインスリンは関係していないので、
インスリン分泌が低下している患者さんやインスリン抵抗性が亢進した患者さんでも効果が期待できます。