バセドウ病(甲状腺機能亢進症)の病態・検査・治療

甲状腺の病気を知ろう
バセドウ病って
どんな病気 ?
動悸や汗っかき、急な体重減少……。「歳のせい?更年期?」と見過ごされがちな症状の裏に、 甲状腺の病気が隠れていることがあります。少し難しく感じるかもしれませんが、 ひとつずつやさしく解説します。
なぜ、甲状腺が働きすぎてしまうの?
本来、脳の下垂体から「甲状腺刺激ホルモン」が放出され、
甲状腺の受容体に働きかけ、
必要な分だけ、甲状腺ホルモンが産生されます。
⚠️バセドウ病では、甲状腺刺激ホルモンとは別に、
誤って、甲状腺受容体と結合してしまう「自己抗体」が作られてしまいます。
その結果、体が必要とする以上にホルモンが作られ続けてしまうのです。
こんな症状に、心あたりはありませんか?
甲状腺ホルモンは、交感神経や心臓を刺激し、脈拍や、代謝を上げる働きがあります。
増えすぎると、体は常にアクセルを踏んだような状態になります。
「動悸」・「息切れ」・「汗をかきやすい」・「急な体重減少」などが起こります。
💡これらの症状は更年期の不調と間違われやすいことが知られています。
「歳のせいかな」と思う前に、一度血液検査で甲状腺の状態を確認してみましょう。
血液検査でわかること
甲状腺ホルモンは、FT4、FT3の2種類があります。
FT4は、肝臓などでFT3へ変換されます。
血液中の濃度は、FT4のほうが高く、安定しています。
一方、ホルモンとしての活性は、FT3の方が高いのが特徴です。
バセドウ病では、FT4からFT3への変換が促され、
FT3(pg/mL)/FT4(ng/dL) 比が2倍を超えることが多いです。
治療について
まずは内服薬から治療を始めます。
メルカゾールとプロパジールの2種類があります。
一般に、メルカゾールの方が副作用は少ないため、メルカゾール内服から始め、
副作用が出た場合は、プロパジールへ切り替えます。
一方、胎児奇形のリスクや母乳への移行はプロパジールの方が少ないため、
妊娠初期や授乳中はプロパジールへ切り替えることが多いです。
改善していく順番
甲状腺刺激ホルモン正常化→甲状腺ホルモン正常化→原因となる自己抗体正常化の順に改善します。
改善まで、2~3年
自己抗体が基準値内に入るまでは、平均2~3年程度を要します。
自覚症状が改善したからと、治療を中断すると自己抗体正常化に至らず、症状再燃を繰り返します。
7割程度は完解する(完全に治る)病気なので、必ず継続して治療を行ってください。
お薬の副作用にご注意ください
- 比較的よくみられる副作用として、筋肉痛(筋細胞の破壊)や黄疸(肝機能障害)があります
- まれですが、命にかかわる副作用として、汎血球減少と呼ばれる、
骨髄内で免疫を担う白血球を作ることが出来なくなる病気があります。
軽い風邪のよう症状でも、副作用のサインである可能性があるため注意が必要です。
内服開始後8週間は、2週間毎に血液検査を行い、副作用の確認を行います。
内服が難しい場合の選択肢
内服治療が副作用で行えない場合は、手術、放射性ヨウ素内用療法(アイソトープ治療)を行います
(可能な施設へ紹介します)。
ともに、術後、甲状腺ホルモンを補う治療が必要となる場合があります。
- 手術
甲状腺を物理的に切除します。
入院期間は一般的に1週間程度です。 - アイソトープ治療
放射性ヨウ素を注射しを注射し、甲状腺細胞を照射・破壊。
治療1週間前~治療後数日間、食事からのヨード摂取制限を行います。
小児や妊娠可能年齢では通常行いません。
似た症状を起こす、ほかの病気との違い
甲状腺機能亢進をきたす鑑別疾患として、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎、プランマー病などがあります。
動機・息切れなどの自覚症状があり、血液検査で甲状腺機能亢進を認める一方、バセドウ病自己抗体陰性の場合に疑われます。
- 亜急性甲状腺炎
風邪などの感染症にかかった時に、一部の甲状腺細胞が破壊され、細胞内に貯蓄されていた甲状腺ホルモンが、血液中に分泌されることが原因です。
一時的に甲状腺機能が亢進します。
破壊される部位は移動することがあります。
甲状腺部位に痛みを伴います。
血液検査で機能亢進の程度を把握し、エコー検査で破壊の部位や程度を確認します。
痛みが強い場合はステロイド内服治療で自覚症状の改善を目指します。
2~3か月程度で改善することが多いです。 - 無痛性甲状腺炎
亜急性甲状腺炎と異なり、甲状腺の痛みを伴いません。
その他の検査、治療は亜急性甲状腺炎と同様です。
- プランマー病(機能性甲状腺結節
甲状腺内に甲状腺ホルモンを産生する腫瘍ができる疾患です。
エコー検査で甲状腺内に腫瘍を認める場合に疑います。
シンチグラフィ検査(甲状腺ホルモンを作る材料である(放射性)ヨウ素を体内に注入)を行い、
腫瘍部位へヨウ素が強く集積する一方で、周囲の細では抑制されることで診断をつけます。
根治治療として、手術(腫瘍切除)やアイソトープ治療(バセドウ病のアイソトープ治療記載を参照)があります。
軽症では、メルカゾール内服で、甲状腺ホルモンのコントロールを行える場合もあります。
院長 与田紘一郎 記載(禁無断転載)
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